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あの藤井聡太棋士が幼少期に通っていたことで、一躍話題になった「モンテッソーリ・メソッド」。ほかにも、AmazonやFacebookなど世界を舞台に躍進する企業の創業者、オバマ前大統領など、偉業を成しとげた人々の名前が続々とあがる、このメソッドの秘密に迫ります。

 

子どもをよく観察して、ひとりひとりに合わせた教育プログラム


世間では「お受験」が過熱していますが、その詰めこみ式とは真逆の「モンテッソーリ・メソッド」が、子どもの才能を伸ばす教育法として、今、注目を集めています。


このメソッドは、イタリア初の女医であったマリア・モンテッソーリが障害児の治療で能力を伸ばせることを発見したのが誕生のきっかけ。受け身の教育ではなく、子どもたちがみずから学んでいく環境を整えること。教育に子どもを合わせるのではなく、子どもひとりひとりに合った教育で、子どもの能力を最大限に引き出そうというメソッドなのです。

 

モンテッソーリ・メソッドの3つの基本


モンテッソーリ・メソッドでは、大きな柱である「3つの基本」をふまえて子どもをサポート。子どもみずからが学べるように環境を整え、体験の場を提供し、発達段階に応じて寄り添っていきます。さっそく、それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。

 

その1 自主性をサポートする

モンテッソーリ・メソッドの最大の特徴が、大人は「環境を整えること」に徹し、子どもの自主性をサポートすること。たとえば、子どもが今必要とする道具を用意したり、すぐに使える場所に置いておいたり。そして、取り組んでいるときは見守ります。できないときはやってあげるのではなく、手伝うことで一緒にやるのです。


子どもをよく観察して、気持ちに寄り添うところから始めましょう。苦手なことに向けた「努力」は、「好き」のパワーには勝てません。また、子どものありのままを受け入れることも大切。安定した気持ちで、全力でチャレンジするようになるからです。

その2 生き方の基礎なる体験を提供

モンテッソーリ・メソッドでは、「生き方の基礎となる体験を提供すること」に力を入れています。


モンテッソーリの教具を使って、日常生活の練習をしたり、感覚をとぎすませる活動をしたり、言語、数、文化を理解して考える力を養ったり。また、小さいうちからたくさん手を使うことを習慣づけるようにしています。


活動のなかで、子どもが間違っていても、それを直接的に訂正しないように努めます。なぜなら子ども自身がそれに気づくことが重要だから。失敗を通して学び、出てきた問題を解決しながらできるようになることで、途中で投げ出さない粘り強さが身につくのです。

その3 「敏感期」に基づいた関わりを

生物には、成長の過程で「ある特定の機能」を成長させるために「特別な感受性」をもつ時期があります。その時期を「敏感期」と呼ぶのですが、モンテッソーリ・メソッドでは、「敏感期」に基づいた関わりを基本にしています。


たとえ子どもの不可解な行動があったとしても、敏感期のなすことと理解できれば見守る余裕が出てくるもの。代表的な4つの敏感期を紹介します。

・2~3歳ごろ 秩序の敏感期

イヤイヤ期とも呼ばれる時期。知らないことばかりのなか、手がかりを見つけながら環境に適応していきます。いつもと違うと不安になってかんしゃくを起こすことも。秩序へのこだわりを理解してあげましょう。

・3~6歳ごろ 感覚の敏感期

このころは、五感が最も鋭敏になる時期。見たり触れたり、感覚的な刺激を通して、物事の本質を理解していきます。本能的な学習意欲が高まるときでもあるので、たくさんの実体験をもつことで世界を広げてあげましょう。

・4歳半ごろまで 運動の敏感期

生まれてから4歳半ごろまでは、絶え間なく体を動かし、運動のしかたを学ぶ時期。全身を動かす運動だけでなく、腕や手を動かしたり、指先を使って細かい作業をすることも大切です。バランス感覚もこの時期に習得します。

・6歳ごろまで 言語の敏感期

赤ちゃんにも周囲の音を聞き分ける力があり、言語を習得する時期は、生まれてから6歳ごろまで続きます。2歳ごろまでは無意識に、2歳半から6歳ごろまでは意識的に学習する時期で、爆発的に語彙がふえていきます。