「そして父になる」で描かれる
「それでも母でいる」母親たち

 

妊娠中、不安や体調の変化と向き合って10ヶ月間を過ごし、出産と同時に母親になった実感を抱く女性たち。その横で多くの父親は、「妊娠って大変そうだなぁ」とやや他人事のように眺めながら会社の飲み会にも出かけ、お酒の臭いをさせながら帰宅したりします。 すいません、多くの父親とか言いましたが僕の事でした。 お酒を飲まない父親たちよ、巻き込んでごめん。何が言いたいかというと「え? 僕たち夫はいつ“父親”になるの?」って話です。

 

実はこの映画の主人公、福山雅治演じる良多(りょうた)は取り違えが発覚した途端に「自分に似てないと思っていたら、やっぱり息子じゃなかったのか」とドン引きします。6年間も家族として過ごしてきたのに、です。 その気持ちもわかる。って言ったら、怒られそうだけど…、気持ちはわかる気がします。だって、似ていないし、血も繋がっていない…他人だよ!? でも、妻は言います。注いだ愛情と過ごした時間が大切じゃないの、と。こんな状況でも、母親でいようとするんです。しかし、すかさず良多は反論します。残りの人生の方が長いのだから、早く決断するべきだと。夫婦の終わりなき意見の食い違い。 こうなると、もうどっちに転んでも…間違いなくバッドエンドだ…。「そして父はいなくなった」というタイトルなんじゃないのかコレ? ママたちには、そう諦めずに観て欲しい。良多が“父になる”瞬間が訪れます。ずっと“母でいる”女性たちから見たら、「遅えよ!」の総ツッコミかも知れませんが、僕は大号泣でした。