2019.04.11

小学校の集団登校「トラブル多発で廃止」の声に論争が巻き起こる

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お子さんが小学校に通っているママ、朝の登校は集団登校ですか?それとも各自で自由登校?

いま全国的に「集団登校は逆に危険」「子どものトラブルが多い」「親の負担も大きい」と廃止を求める声と、「不審者などのことを考えると、やはり集団の方が安心」という意見がたびたび論争を巻き起こしています。

この記事では、小学校の集団登校を巡るトラブルや、実際にお子さんが集団登校で通っているママと個人で登校しているママ、それぞれからメリット・デメリットについて話を聞かせてもらいました。

 

集団登校を廃止する自治会や学校も増えている


現在、小学校の集団登校はどのくらいの地域で実施されているのでしょうか。

文部科学省の「学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査」(平成27年度実績)によると、全国の小学校20,015校のうち、集団登下校を実施している学校は12,632校で、全体の63.1%となっています。

 

筆者は自分自身も子どもたちも集団登校でしたが、ママ友と話すと、以前から、地域により実施しているところ、していないところ、さまざまだったことが分かります。

 

マンションや団地が多く学校の周りに住宅が密集していて学区が小さい場合や、交通量が多く幅の狭い道では集団で歩くと逆に危険なため、昔から個別登校という地域もあります。

また、日頃は個別登校ですが、新1年生が登校に慣れるまでの間や休み明けの短期間だけ集団登校を実施している学校もあるようです。

 

集団登校をするかしないかを誰が決めるのかについては、文部科学省から各学校あてに「学校は、学校の設置者、警察署、PTAその他の関係機関、団体等との密接な連けいにより綿密周到な計画をたて…」という通知が出ていますので、基本的には小学校が主体となって決めるようです。

 

ただ、実際に班分けをしたり名簿を作ったり登校の見守りをしたり…といった仕事は、先生たちがする場合もあるものの、PTAや自治会(町内会・子供会)の協力を得て行っている地域もあります。

また集団・個別登校に関わらず、通称「旗振り」とも呼ばれる保護者による見守りも、全国の9割近く(89.4%)にあたる17,895校で実施されています。

 

集団登校のメリットは何がある?


廃止する地域もあるとはいえ、いぜん半数以上の小学校で行われている集団登校。メリットとしては次のようなものがあります。

 

人通りの少ない道での安全管理

不審者による子どもの被害は、重大なものも含め、圧倒的に下校時に多く起こっています。

というのも、いっせいに登校する朝と比べ、下校は学年によって時間がバラバラ。集団登校は実施していても下校は各自という学校がほとんどです。

大通りならば低学年の子が一人で歩いていても問題ないかもしれませんが、裏通りや人気のない道では、朝といえどやはり集団の方が安心です。

 

無事登校したことが確認できる

保護者の出勤が朝早いと、後から子どもが1人で登校するパターンもでてきます。個別登校の場合、家を出る前や途中で体調が悪くなって学校に着けなかったとしても、欠席なのかトラブルが起きているのか分からず、何かあった時に親に伝わるのが遅れてしまう可能性があります。

 

集団登校させているママが語るメリット

実際にお子さんが集団登校しているママからは、良い点としてこんな声も。

 

「前の学校では、近所の女の子と二人で登校していたのですが、どちらかが風邪で休んだりすると1人きりになってしまうんです。途中、空き地や廃工場の続くさびしい場所を通るので、急きょ仕事に遅れて娘を送っていくこともありました。引っ越してきて、集団登校に変わったので助かっています」(Eさん・36歳・2年生の女の子のママ)

 

「一人っ子なので、他の学年のお子さんと関わる機会ができてうれしいです。小さい時は班長のお兄ちゃんがアサガオの鉢を持ってくれたこともありますし、今は高学年で副班長をしていますが、歩みの遅い小さい子を気遣ったり、車が来たらそっとかばったりする姿がベランダから見えるのでほっこりします」(Yさん・41歳・5年生の男の子のママ)

 

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集団登校のデメリット…こんなトラブルも!


いっぽう、さまざまなデメリットも挙げられています。

 

交通事故が後を絶たない

「集団登校中の小学生の列に車がつっこんだ」という事故が毎年のように報道されることから分かるように、登校中の交通事故は後を絶ちません。

これにはいくつかの説があり、危険な箇所はだいたい決まっているので、そこに集団で子どもたちがいるのは危険という意見と、個人登校でもそこに子どもが集中するのに変わりはないという意見があります。

 

しかし、集団登校中の事故が多いのには、ふざけて列が乱れたり車道に飛び出したりすることや、集団で危険察知が鈍ることなど、集団特有の状況が影響している可能性はあります。

これを回避するために、各小学校では学習の一環として、自分たちの通学路の危険な箇所を書き込んだ「安全マップ」を作成するなど、それぞれの子が危険察知の意識を高められるような工夫をしているそうです。

 

保護者の負担

個別登校でも、交差点などに保護者や地域のお年寄りが交代で立ち、交通事故を防ぐ運動をしている地域は多いと紹介しましたが、この当番に参加しない保護者と、ひんぱんに当番が回ってくる保護者の負担の差が問題になることも。

 

「私は下の子が高学年で、パート勤務なので、当番の時間帯は比較的参加しやすいんです。フルタイム勤務の方や、赤ちゃんがいる方などが大変なのは分かるので、大目に当番が回ってくるのはまあ仕方ないと思うのですが、家にいてもぜんぜん参加しようとしない方や、それに不満を抱く方など色々いてややこしいですね…」(Kさん・33歳・5年生の女の子のママ)

 

「子供会で順番に登下校時の見守りや班分け・班長決め・行事の引率などを手分けしてやっています。でも、中にはまったく手を貸さない人もいて。でも自分のお子さんは当然のように集団に参加させるんですよね。その子だけを放置しておくのはかわいそうなので、一緒に集団で登校していますが…なんだかモヤモヤ」

子どもも大変なことがいろいろ…

保護者だけでなく、子どももそれぞれの立場で大変な思いをしているようです。

 

「いつも遅い子がいるんです。その子を待っていて班全員が遅刻しかけることも。時間が来たら出発していいという決まりはあるものの、1年生なので放っていくのは気が引けるのでしょうね、集合場所から遠いのによく班長の子が呼びにいっていて気の毒です」(Yさん・38歳・3年生の女の子のママ)

 

「うちの班は班長さんの6年生の子が出てくるのが遅いんです。学校近くでダッシュさせられて、小さい子が転びそうになってるので何とかしてほしい」(Mさん・40歳・4年生と1年生の男の子のママ)

 

「息子が班長ですが、欠席の連絡がないと、置いて行っていいのか分からなくて困っています」(Tさん・37歳・6年生の男の子のママ)

 

安全第一とはいうものの、楽しくない

「うちの子の登校班は、高学年中心の男の子8人の中に1年生の娘が1人。いじめられたりするわけではないようですが、いつもポツンと1人なので寂しそうです」(Uさん・34歳・1年生の女の子のママ)

 

「引っ越してきて、自由登校から集団登校に変わりました。交通事故防止のため、歩きながらの私語は禁止。前は仲良しの子と二人でおしゃべりしながら登校できて楽しかったのに…と嘆いています」(Fさん・35歳・4年生の女の子のママ)

子ども同士のトラブル

集団にはトラブルがつきものですが、メンバー構成によってはけんかやいじめに発展してしまうことも。

ちょっとした言い争いから相手の子を道路に向かって押す、他の子のスクール帽子を道路に投げる…といった意地悪をされた子も少なくないようです。

 

「息子、学校は楽しいのに登校班がイヤで学校に行きたくないと泣いていた時期があります。トラブルを起こす子の親に限って、朝の見守りとかには顔を出さないんですよね…」(Tさん・37歳・2年生の男の子のママ)

 

その他にも、遅れたときに連絡を取るため保護者同士が連絡先を共有することになったものの、携帯電話や住所などの個人情報が多くの人に伝わるのが心配という人や、適当な公園がなく街角で集合していたら近隣の家から苦情が来たなど、いろいろな集団登校にまつわる困った経験が寄せられました。

 

まとめ


世の中には、100%どちらが良いと決められない事柄は多いですが、こと集団登校に関しては、良い面と悪い面どちらも重要な内容のため、非常に判断が難しくなっています。

地元の慣習や周囲の環境などによっても状況は異なりますが、やはり一番大切なのは子どもの安全。大人の都合も考慮すべきではありますが、小さい子が犠牲になることだけは避けたいですね。

今回の体験談も参考に、あなたの地域の登校のあり方について考えるヒントになれば幸いです。

 

文/高谷みえこ

参考:文部科学省「集団登校の実施について」 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/t19681227001/t19681227001.html

平成28年度文部科学省交通安全業務計画 http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6686/00221951/2806_kotuanzengyomukeikaku.pdf

学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査(平成27年度実績) https://anzenkyouiku.mext.go.jp/report-gakkouanzen/data/report-h27.pdf

高谷 みえこ

ライター歴15年。大手企業サイトなどで執筆を行う。得意分野は女性・主婦向けの記事。育児ポータルサイトでは新米ママのお悩み相談コーナーで回答者を務めた実績を持つ。