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毎月、日本テレビの解説委員・岸田雪子さんによる「働くママが知っておきたいこと」をお届けしているこの連載。今月は、日本財団にお邪魔し、「子どもの貧困対策チーム」プロジェクトリーダーの花岡隼人さんにお話をうかがいました。

 


今年7月、最新の「子どもの貧困率」が発表されました。「13.9%」と、数字上は改善していますが依然として7人に1人、およそ270万人の子どもが「貧困状態」ということになります。普段の生活では気づきにくいからこそ、私たちに、どんなことができるのか考えます。


 

Q「子どもの貧困」ってどういうこと?

A.世帯ごとの「手取りの収入」をもとに算出
 今年の調査では「13.9%」と12年ぶりに回復。
 でも課題は残ります

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政府は経済の回復によって、改善しつつあるとしています。でも逆にいえば経済状況が変われば、再び貧困率が悪化する可能性があり、継続的な支援が必要です。

用語解説:子どもの貧困率

相対的貧困状態にある17歳以下の子どもの割合。相対的貧困とは、国民の可処分所得を順番に並べたときの中央値の半分に満たない暮らしを強いられている状態で、2012年の日本の貧困ラインは1人あたり年間122万円である。


 

Q.ひとり親家庭の貧困率は?

A.50%を超える高い水準です

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ひとり親家庭の「貧困率」は、大人が2人以上いる世帯よりも4倍以上多くなっています。ひとり親世帯の数そのものもふえていて、特に母子世帯の経済状況が厳しく、深刻です。


 

Q.貧困状態の子どもたちの食事状況は?

A.夏休みなど、給食のない日の栄養格差が広がっている

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給食のある日は栄養格差が解消されるものの、給食のない日は子どもの成長に不可欠な、タンパク質や鉄の摂取量に大きな差がついてしまっています。カゼをひきやすくなるなど、免疫力の低下も心配ですね。


 

Q.子どもの「貧困」で心配されるのは?

A.「健康」、「学力」の問題に加え「人とのかかわり」が苦手になったり
 「自立して生きる力」が育ちにくい場合もあります

「貧困家庭」では親も子も孤立しがちです。経済的格差から教育格差が生まれ、将来の所得格差につながる「貧困の連鎖」も大きな問題です。「子どもの自立」のため、学習面や「生きる力を育むサポート」が必要です。


 

Q.国際的に比較した、日本の子どもの貧困率の現状は?

A.世界的に見てもトップクラスの高さなのです

 

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世界的に見ても、日本の子どもの貧困率は高い水準を維持し続けています。一時的に貧困率が下がっても、けっして安心はできませんね。


 

Q.子どもの「貧困」問題にどんな対策がされている?

A.国が法律を作る一方、民間でもさまざまな支援活動が行われています
 「第三の居場所」と呼ばれる地域コミュニティもふえています

就学前から小学校低学年の子どもたちが集う「第三の居場所」。第1号は埼玉県戸田市の施設で、20人の子どもたちが放課後などの時間を過ごしています。

内観

 

 

 

 

 

 

 

 

 

用語解説:第三の居場所

日本財団が、生きにくさを抱える子どもを総合的に支援する拠点「家でも学校でもない第三の居場所」として、2016年5月にスタートしたプロジェクト。全国で100か所整備し、子どもの貧困対策の有効施策を特定することを目的としている。


 

岸田

 最新の「子どもの貧困率」は「12年ぶりの改善」とされていますが、どう見ていますか?


花岡

 たしかに、所得が上がって経済面の貧困が解消されるケースもあります。ただ、私たちは経済力だけではなく、関係性や非認知能力の低下、生活習慣なども含めて「子どもの貧困問題」ととらえています。これが「生きる力の格差」につながり、社会的にも大きな損失となります。経済面だけを対象にした調査結果には、一喜一憂はできません。


岸田

 たしかに。子ども自身が豊かに成長するという意味の貧困率のデータは日本にはありませんね。


花岡

 昔と今で「貧困」に対する認識の違いが大きいからだと思います。そもそも、お金さえあれば貧困は乗り越えられる、と考えている政府関係者も多いですし。昔は困っている家庭があれば近所で助け合っていましたが、今はそれがない。孤立が貧困を生むという現実が見えていないのでしょうね。


岸田

 その点では、国より自治体レベルのほうが、手をさしのべる意識をもっているのでしょうね。


花岡

 おっしゃるとおりです。市町村はこの問題に気づきはじめています。「朝食をとらない子」とか「むし歯の子」などの割合を継続的に見ていって、貧困の実態を調査していけば、地域にどういう子がいるか、把握できるんです。


岸田

 本来は国がやるべき調査でしょうけれども。栄養を学校の給食に頼っている状態の子どもたちが多いのも心配です。


花岡

 食の問題は、親御さんが、「この子にバランスのいい食事を」という意識がないと、難しいです。500円あげれば必要なカロリーはとれるでしょ、ではないんです。そこまで細かく自治体がやるのは難しいですから、地域の人が使いやすい補助金を出して、手をさしのべることが必要なのかな、と。


岸田

 「家でも学校でもない第三の居場所」を始めてみて、気づいたことはありますか?


花岡

 わかったのは、やっぱり現場はすごく困っているってことなんです。当初は、自治体側に抵抗感もあったようですが、「こんな施設を待っていた」という声も多くいただきました。


岸田

 子どもたちに変化は見られましたか?


花岡

 ありますね。異年齢の子どもや大人との交流を通して、コミュニケーション能力や社会性が上がってきた、生活リズムが整ってきたという子もいます。最初は、自分の思いどおりにならないと、「なんでー!」となっていた子が、他人を思いやるようになったり。子どもが変化すると、親も気持ちに余裕が出る場合も多いです。


岸田

 子どもには、「絶対的な安心感」や「自己肯定感」が必要ですものね。


花岡

 「自己肯定感」をつけたあとじゃないと、学力やいろんなスキルも身につかないと思うんです。


岸田

 身近にある「子どもたちの貧困」に、私たちも意識をもっていきたいと思います。


花岡

 みなさんもボランティアや寄付で、「子どもの貧困」を実感していただければと思います。

 

●お話をうかがったのは日本財団


「子どもの貧困対策チーム」


プロジェクトリーダー


花岡隼人さん

一橋大学法学部卒業、ワルシャワ大学政治学研究科修了。「子どもの第三の居場所」開所に携わり、子どもの貧困解決に向けてさまざまに取り組んでいる。

 

【プロフィール】日本テレビ解説委員


岸田雪子さん

日本テレビ報道局で記者歴10年を経て、報道キャスターに。『スッキリ‼』、『情報ライブ ミヤネ屋』、BS日テレ『深層NEWS』などに出演し、現在は解説委員として活躍。同じ会社に勤務する夫と、小4の長男の3人家族。仕事、家事、育児に加えて、実母の介護にも奮闘中。日本テレビのママサークル「ママモコモ」でも活動している。

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